シーフード
ここで言うシーフードとは、水中でしか生きることが出来ず、陸上での生活が例外的なもののことです。また、ここでの「シー(海)」は、大量の水のことを指します。つまりここでは大量の水を擁する、川や湖なども含まれます。動物か植物か、狩猟されたものか、死んだ状態で発見されたものかを問わず、全てのシーフードは‐それが健康に有害なものでない限り‐合法であり、食用を許されています。アッラーは仰せられました。『あなた方に、海の獲物とその食べ物が許された。』(クルアーン5:96)ここでの「獲物」とは、生きたまま捕まえたもの、「食べ物」とは海が打ち上げた海生物の死体のことです。
陸上動物
陸上動物の食用が合法となるには、2つの条件を満たすことが求められます:
食用を許された動物であること。
イスラーム法に則った方法で捕獲され、あるいは屠殺されていること。
合法な動物とは?
基本的には、それを非合法とするクルアーンとスンナによる根拠がない限り、全ての動物はハラールです。
禁じられた動物は、以下の通りです:
-
豚:豚はイスラームにおいて、穢れた動物であり、その部分と器官、そこから抽出された全ての物質は、禁じられています。アッラーIは仰せられました。『死体と血と豚肉が、あなた方に禁じられた。』(クルアーン5:3)また、こうも仰せられました。『…あるいは豚肉。実にそれは、悪しきものである。』(クルアーン6:145)この「悪しきもの」とは、つまり穢れのことです。
- 牙を備えた野獣:ここでの意味は、ライオンやトラのような大型獣か、猫のような小型獣かを問わず、全ての肉食動物のことです。犬も、この中に入ります。
- 鉤爪のある全ての鳥類:これはタカ・ワシ・フクロウなどの、全ての肉食鳥類のことです。
- 昆虫類:陸上の全ての昆虫類は、屠殺することが不可能なため、食用を禁じられます。ただしイナゴは例外で、食用を許されています。預言者rは仰りました。「2つの死体が、私たちに許された:魚とイナゴである。」(イブン・マージャ3218)
- ヘビやネズミの類い:これらは食用を禁じられており、殺すことが命じられています。預言者rは仰りました。「俗域でも聖域でも殺されるべき、(有害度において)逸脱した5種の動物:ヘビ・カラス・ネズミ・狂犬・トビ。」(アル=ブハーリー3136、ムスリム1198)
- 非野生のロバ:乗用や荷役のために、村などで使役されているロバのことです。
合法な動物の種類:
アッラーが合法とした動物には、2種類あります:
- 陸上に棲み、人間から逃げるもので、屠殺するために捕獲することが不可能なもの。この種類のものは、イスラーム法に則ったやり方で狩猟することで、私たちにとって合法となります。
- 人に慣れており、捕獲することが可能なもの。この種類のものは、イスラーム法に則って屠殺しない限り、合法とはなりません。
イスラーム法に則った屠殺:
イスラーム法に則った屠殺とは、イスラーム法が定めた条件を満たした形で、ザバハ(喉元を横に切る方法)あるいはナハル(喉元を正面から突き刺す方法)することです。
イスラーム法に則った屠殺の条件:
- 屠殺する者が、その資格を有していること。つまり、屠殺を意図した、分別あるムスリム、あるいは啓典の民(ユダヤ教徒/キリスト教徒)であること。
- 屠殺する器具が適切なものであり、ナイフのように出血させることが可能で、鋭く切れること。動物の頭部を衝撃と重みによって殺したり、電気ショックのような燃焼エネルギーによって殺したりする器具を用いることは、禁じられます。
- 屠殺する手を動かす際、「ビスミッラー(アッラーの御名において)」と言って、アッラーの御名を唱えること。
- 屠殺で切断すべき箇所を、切断すること。それは、以下のものです:食道。喉。2本の血管(頚動脈・頚静脈)。あるいは、これら4つの内の3つを切断します。
これらの条件が揃ったら、屠殺した動物はハラールとなります。これらの条件の内、1つでも満たしていないものは、ハラールとは見なされません。
レストランや店で出される肉の種類:
- 仏教徒/ヒンズー教徒/無神論者など、非ムスリムかつ啓典の民でもない者が屠殺したものは、禁じられます。ここには、その国民の大半が非ムスリムであり、啓典の民でもないような国々のレストランや店にあるような肉も、含まれます。これらの肉は、合法であることが確定するまで、ハラーム(禁じられたもの)という位置づけをされます。
- ムスリムか啓典の民が、イスラーム法に則って屠殺したもの。これは、合法ということで一致しています。
- ムスリムや啓典の民が、ショック死や溺死など、イスラーム法に則っていない形で屠殺したもの。これは完全にハラームです。
- 啓典の民が屠殺したもので、どのような方法で屠殺したか不明なもの、及び啓典の民のレストランや店に置いてあるもの。その基本は、それが彼らの屠殺したものである、と見なすことです。ゆえにその食用は許される、というのが優勢な見解ですが、それを食べる時にはアッラーの御名を唱えるよう努めます。もちろん、合法性が明らかなハラールの肉を探すことが、より優先されることに変わりはありません。