あなたの環境と家族について
新しいムスリムは改宗後、ムスリムであるかどうかを問わず、全ての知人・親戚らとよい関係を築き、よい形で付き合い、優れた品性で接しなければなりません。イスラームは、隠遁や孤立を勧めてはいないのです。
人々への善行と、最良の品性でもって彼らと付き合うことは、この宗教の最善の紹介法でもあります。アッラーの使徒rは、優れた品性を完遂するために遣わされたのですから。
そして家族は、優れた品性と、寛容で親切な付き合い方を実践する、最初のステップなのです。
以下に示すのは、新しいムスリムが家族との付き合いにあたって必要とするかもしれない、イスラーム法の一部です。
イスラーム改宗後の家庭生活
夫婦が同時に改宗した場合:
夫婦が同時に改宗した場合、イスラームにおいても結婚関係のままです。結婚の契約を、新たに結びなおすことはありません。
ただし、以下の状況は例外とされます:
- もしマフラム(206ページ参照)と結婚していた場合。つまり、自分の母/姉妹/(父方の)叔(伯)母/(母方の)叔(伯)母と結婚していた場合、イスラーム改宗と同時に離婚しなければなりません(219ページ参照)。
- 姉妹どうし、または妻とその(父方の)叔(伯)母、あるいは妻とその(母方の)叔(伯)母と同時に結婚していたような場合。この場合も、いずれかを離婚する必要があります。
- 夫婦が同時に改宗したものの、妻の数が5人以上である場合。5人以上と結婚関係を続けることは許されないので、その内から4人だけ選び、残りは離婚しなければなりません。
夫だけが改宗した場合
この場合、妻の宗教を見ます。彼女は啓典の民(ユダヤ教徒かキリスト教徒)か、そうではない別の宗教‐仏教/ヒンズー教/その他の偶像崇拝‐の民か、あるいはいかなる宗教も信じない無神論者のいずれかでしょう。
- 啓典の民の妻:
夫が改宗し、妻は改宗しなかった場合、そして妻が啓典の民(ユダヤ教徒/キリスト教徒諸派)である場合、結婚関係はそのまま続きます。というのもムスリム男性は、そもそも啓典の民の女性と結婚することが許されており、その状態の継続の合法性は尚更だからです。
アッラーは仰せられました。『この日、あなた方にはよきものが許された。また、啓典を与えられた者たちの食べ物はあなた方にとって合法であり、あなた方の食べ物も彼らにとって合法である。そして信仰者の女性たちの内の貞節な女性と、啓典を与えられた者たちの内の貞節な女性も。』(クルアーン5:5)
しかし夫は、あらゆる手段を尽くして、彼女をイスラームへと招き、導かなければなりません。
- 啓典の民以外の妻:
夫が改宗し、妻は改宗しなかった場合、そして彼女が啓典の民(ユダヤ教徒/キリスト教徒)ではなく、仏教/ヒンズー教/その他の偶像崇拝に属している場合:
イッダ(待婚期間)の期間中、彼女の改宗を待ちます。詳細は表にある通りです。
- それでその期間中に改宗したら、彼女は彼の妻となります。新たに結婚の契約をする必要はありません。
- しかしイッダが終わるまで改宗を拒んだ場合、結婚関係は終了します。
イッダが終わった後でも、彼女が改宗したら、彼は‐望むなら‐彼女との結婚を申し込むことが出来ます。アッラーは仰せられます。『また、不信仰な女性との絆を固持してはならない。』(クルアーン60:10)つまり、あなた方がイスラームに改宗した後、啓典の民ではない不信仰な女性を、あなた方の後見下に留めてはならない、ということです。
離婚された女性のイッダ(待婚期間): | |
結婚の契約をしたものの、その妻と性交渉を持っていなかったり、2人きりになったりしていない場合、離婚しただけで完全に別れることが出来ます。この時点で、夫のみがイスラームに改宗した場合も同様です。アッラーは仰せられます。『信仰する者たちよ、信仰者の女性と結婚し、彼女らに触れる前に彼女らを離婚したのなら、あなた方には彼女らに対し、数えるべきイッダはない。』(クルアーン33:49) | |
妊婦のイッダ:期間の長短を問わず、出産した時点で終わります。アッラーは仰せられました。『また妊婦の期間は、子供を出産するまで。』(クルアーン65:4) | |
妊婦でもなく、月経のある女性のイッダは、離婚後‐あるいは夫の改宗後‐完全な3回の月経です。つまりその間の期間の長短を問わず、月経が来て終わり、また月経が来て終わり、更に月経が来て終わることが、完全な3回の月経です。3回目の月経が終わってグスル(96ページ参照)をすれば、イッダは終わったことになります。アッラーは仰せられました。『また、離婚された女性は独り身のまま、3つの月経を待つ。』(クルアーン2:228) | |
年少/年配/恒常的な病気などゆえに月経のない女性のイッダは、離婚されてから‐あるいは夫が改宗してから‐3ヶ月です。アッラーは仰せられました。『また、あなた方の女性の内、月経の望めない者‐あるいはまだ月経の来ていない者‐で、あなた方が疑念を抱く者、彼女らのイッダは3ヶ月である。』(クルアーン65:4) |
夫ではなく、妻だけが改宗したら?
非ムスリムの夫婦が同時に改宗した場合:夫が妻の兄弟/(父方の)叔(伯)父/(母方の)叔(伯)父のように、結婚を禁じられた関係でない限り、結婚関係を続けることが出来ます(208ページ参照)。
妻が改宗し、夫がイスラームを拒否した場合:
妻が改宗したと同時に、従来の結婚の契約は「義務性のない合法的な契約」となります。妻にはこの場合、以下の選択があります:
- 夫の改宗を待ち、様々な手段を用いて、彼に宗教とその事実の説明を試み、アッラーに彼の導きを祈ります。そしてたとえ長い期間の後でも彼が改宗したら、最初の結婚の契約と共に‐彼女が彼の改宗を待っている場合に限りますが‐彼のもとに戻ります。また、夫が改宗しない内は、彼と性交渉を持つことは許されません
- また、夫の改宗が望み薄なのであれば、彼女は望むなら離婚を求め、いつでも好きな時に結婚の契約破棄をすることが出来ます。
いずれの場合でも、彼女が改宗した後には、非ムスリムの夫が彼女と性交渉を持つことは禁じられます。アッラーは仰せられました。『それで彼女らが信仰者だと分かったならば、彼女らを不信仰者たちのもとに返してはならない。彼女らは彼らに合法ではなく、彼らも彼女らに合法ではないのだ。』(クルアーン60:10)
こうした理由から、既婚女性は改宗した当初から、以下のことに留意すべきです:
- 妻は改宗したら、英知とよき訓戒、あらゆる手段を用いて、すぐ夫のことをイスラームへと招かなければなりません。
- 夫がイスラームを拒み、彼を改宗させる試みにおいて成功せず、その望みを失った場合、彼女は離婚手続きを始めることが出来ます。
- たとえ長引いたとしても、離婚手続きの期間内は、2人の間の結婚の契約は合法的なものと見なされます。ゆえに夫がこの期間内に改宗したら‐たとえイッダの後でも‐、彼は最初の結婚契約によって彼女のものとなります。ただし離婚手続きが終了したら、結婚の契約は破棄されたことになります。
- 妻は離婚手続きが終わるまでの期間、2人が夫婦生活を営む家に留まることが出来ます。しかし改宗以後は、夫と性交渉を持つことを禁じられます。
子供の改宗:
全人は、自然な天性とイスラームのもとに創造されました。他の宗教は後天的なもので、両親の教育と養育によるものです。アッラーの使徒rは、こう仰りました。「生まれ来る者で、自然な天性のもとに生まれない者はない。そしてその両親が、彼をユダヤ教徒にしたり、キリスト教徒にしたり、ゾロアスター教徒にしたりするのである。」(アル=ブハーリー1292、ムスリム2658)
しかし非ムスリムの子供が死んだら、私たちはこの世において、彼らを非ムスリムと位置づけて扱います。アッラーUは秘密や、隠された物事をご存知であり、誰のことも不正には扱われません。アッラーは審判の日に彼らをお試しになり、それでかれに従った者は天国に入り、逆らった者は地獄に入ることになります。
非ムスリムの子供について尋ねられた時、アッラーの使徒rは、こう仰りました。「アッラーが彼らを創造されたのだから、彼らが行ったであろうことについては、かれが最もよくご存知なのである。」(アル=ブハーリー1317)
それではこの世において、いつ非ムスリムの子供をイスラームとして位置づけるのか?
子供がムスリムとして認められるには、いくつかの異なる状況があります。以下は、その一部です:
- 両親、あるいは片親が改宗した場合。この時、子供はイスラームに改宗したと見なされます。
- 両親は改宗していなくても、物心がついた未成年の子供が改宗した場合。ある時、預言者rに仕えていたユダヤ教徒の少年が病気になり、彼rは少年を見舞いました。そして彼の頭の横に座ると、こう仰りました。「イスラームを受け入れよ。」少年がそこにいた父親の方を見ると、父親は彼にこう言いました。「アブー・アル=カースィム(預言者)rに従うがよい。」それで少年は改宗し、預言者rは外に出てこう仰りました。「彼を地獄の炎から救われたアッラーに、全ての賞賛はあり。」(アル=ブハーリー1290)